Production Music Libraryの探し方

Production Music Libraryの探し方

 この記事では、Production Musicビジネスで作曲家にとって、最も大切なビジネスパートナーとなるLibraryの探し方と類似するRoyalty Freeモデルとの見分け方について解説していきます。

Production Music Libraryとは

 Production Music Libraryとは作曲家と著作権譲渡契約を結び、著作権の一部を譲り受ける替わりに、TV番組制作会社や、放送局、ゲーム会社等のクライアントに楽曲使用を促す音楽出版社の一種です。楽曲の著作権使用料を作曲家と分け合う事で利益を得ます。

 直接営業の他に、多くのLibraryが契約した楽曲をカタログ化してウェブサイト上に公開する事で、さらなるクライアントを獲得をしています。

 作曲家にとっては本来、アプローチの難しいクライアントへのアクセスを可能にしてくれる事から、業界の窓口的存在であると共に、著作権使用料を分け合うProduction Musicビジネスの最も重要なパートナーとなります。

 自分の制作スタイルに合った良質なLibraryを探し契約を結ぶ事が、Production Musicビジネスの出発点であり、成功の鍵になります。

Production Music Libraryについてはこちらの記事でも解説しています。↓↓

Production Musicビジネス入門②[仕組み]

Exclusive or Non-Exclusive

 Libraryには大きく分けて2種類あります。

  • Exclusive Library-楽曲を独占的に契約
  • Non-Exclusive Library-プロモーションの許諾だけを要求する

詳しくはこちらの記事を参考にしてください↓↓↓

絶対に知っておきたい2種類のProduction Music Library

 それぞれに良い点、悪い点あるので、自分に合った方を選んでください。ちなみに私はExclusive Libraryとのみ契約していますので、この記事ではExclusive契約を結ぶ前提で話を進めます。

 LibraryによってはWebサイトに明確な記載が無く、契約する直前までどちらか分からない事もあります。プレイスメントの実績などが、すごく気に入ったところがあれば、メールで問い合わせて見ると良いと思います。ちゃんとしたLibraryほどしっかり返信してくれるはずです。

 ただし、大切なビジネスパートナーになるかもしれない相手に時間を使わせている事を理解して、簡潔に返答しやすいメールを書く事を心がけましょう。

私が契約しているLibraryについて

 プロフィールに書いてある様に現在、私はアメリカのLibrary5社と契約して、著作権使用料を得て生活をしています。これを読んでいる人は、私が契約しているLibraryを教えてくれたら良いじゃないか!と思うかもしれませんが、いくつかの理由でそれは出来ません。

自分のスタイルに合ったLibraryを探す意味

 一つは、私の曲が成果を挙げているからといって、同じLibraryにあなたの曲を送っても同じ程度のプレイスメントを獲得できる保証はどこにも無い事です。

 Production Musicビジネスの仕組み上、Libraryと契約しただけでは、利益は生まれません。楽曲が使用されて初めて著作権使用料を得られる訳ですが、これは契約した楽曲がLibrary、さらに言えばそのクライアントのニーズと一致した結果です。

 多くのLibraryでは、ジャンルを問わず曲を募集しているものの、得意なジャンルやクライアントの傾向にはかなり偏りがあり、それはプレイスメントにも如実に表れます。

 大事なのはLibraryが、あなたの楽曲に商品価値を見出してくれた上で契約に至る事です。

 私は、今のLibraryと出会うまでに40以上のLibraryに音源を送ってきました。10社から返事をもらい契約しましたが、一定期間のうちに楽曲使用を獲得してくれたのが現在、取引している5社です。

 沢山音源を送った中で、たまたま私の制作スタイルに合ったクライアントを持っていた10社と契約する事ができ、5社と継続的にお付き合いをさせて頂いています。

 逆を言えば、プレイスメントを獲得できていない5社にも一定数の曲の権利を譲渡してしまっています。現在では、Exclusive LibraryでもConsideration Feeを払わない契約が一般的なので、Placementが獲得できるかどうか微妙でも契約してしまうLibraryもあります。そうなると、作曲家は楽曲の著作権だけを譲渡してなんの見返りも得られないことになります。

 私の場合、20曲程がそういう状態です。現在もライセンス可能な状態でLibraryのカタログにありますから、今後プレイスメントされる可能性はゼロではありませんが、現状では20曲を制作する時間をロスしてしまっていることになります。(今の私の制作ペースにして、2ヶ月分です)

 そういったリスクを減らす為にも、Libraryの特徴をよく見極めて自分の楽曲に商品価値を見出してくれるLibraryを探す必要があります。

 曲を募集しているLibraryを十分なリサーチ無しに片っ端しから曲を送ってみると言うのは、時間の無駄ですし大事な曲の権利を投げ捨てているような物なのでお勧めしません。

Library側の負担増

 もう一つの理由は、私が契約しているLibraryの名前を公表してしまうと、記事を読んだ人からのデモ提出が集中してしまう可能性がある事です。Libraryは作曲家と契約した曲の権利を持ってクライアントに営業をするので、デモ提出自体はありがたい事なのですが、一気に集中すると業務が滞ってしまいます。

 私が契約しているLibraryのほとんどが小規模で、7,8人ほどで運営されていまるはずです。デモ音源のチェックをしている人はおそらく1人だと思います。

 契約等のメールのやり取りの際、普段から、

「スマン!音源提出が多くて返事が遅くなったよ」

 と言われているのに、この記事が原因で大量のデモ音源が日本からまとめて送られたら、彼はおそらくパニックになりますし、業務が滞れば、私との契約手続きにも直接の影響が出るでしょう。

 こちらの記事でも書きましたが、Production Musicビジネス成功の秘訣は、Libraryスタッフに好かれる事なので、ビジネスパートナーであるLibraryを困らせる事は避けなければなりません。

 良いLibraryを見極めるのはなかなか難しいと思いますが、焦らずリサーチしていきましょう。

具体的な探し方

 具体的なやり方は、まずGoogle検索を使って探していきます。検索ワードとして

  • Production Music Library
  • Sync Licensing
  • Music Publisher
  • Music Publishing Company
  • Music for TV and Film

などの言葉を組み合わせて探していく事になります。

Royalty Free MusicサイトとProduction Music Libraryの見分け方

 その際に注意したいのが、検索結果に多くのRoyalty Free Musicサイトが混ざって来る事です。Royalty Free Musicサイトはビジネスモデルがよく似ていて、なかにはProduction Music Libraryを名乗っているサイトもあるので見極めが難しいです。

 これは別にユーザーを騙そうとしている訳では無く、Production Musicという言葉に明確な定義が無いのと、Royalty Free Musicも映像向けに音楽を提供するという意味ではProduction Musicと言えなくも無いので、仕方ありません。

 この記事では、楽曲をPROに登録してTV番組等のプレイスメントから著作権使用料を得る事を目的としているので、Royalty FreeモデルのLibraryとProduction Music Libraryをしっかり見分ける必要があります。

Performance Royaltyに関する記載

 大事なのは、契約した楽曲の著作権の扱い方の違いを見分ける事です。

“About us” /”Submission”/”FAQ”/

 といったページに、著作権の扱いや契約に関する記載がある事が多いので、まずは、そこをチェックしてみましょう。

”Submission”のページが無いLibraryも多いですが、”Contact us”ページに楽曲提出に関する情報が記載されているケースもあります。

実際に、とあるLibrary AのWebサイトを見てみましょう↓↓


まずは左上に

“We now only offer an Exclusive Agreement”

という記載があります。

このLibraryはExclusive契約のみを扱います。

という意味です。その下に契約の詳細が書かれています。

 Exclusive契約のRoyalty Free Musicサイトもありますので、この段階ではこのLibraryがProduction Music Libraryだと断言することはできません。

 次に右上を見ると、収益の分配についての記載があります。大事なのは最後の一文です。

要約すると

Sync FeePerformance Royalty の両方を50%づつLibraryと作曲家で分け合う”

と書いてあります。

 Performance Royaltyとは、PROから分配される著作権使用料の事です。この記載がWebサイトにある事で、このLibraryはRoyalty Freeモデルではなく、楽曲をPROに登録して著作権使用料を作曲家とシェアする”Production Music Library”であると確認する事ができます。

 このケースでは、Performance Royaltyの50/50は業界スタンダードなので、契約に問題は無いと思います。

 Sync Feeは楽曲が使用されると決まった時にクライアントからLibraryに直接支払われるお金です。こちらの記事にも書きましたが、最近ではSync Feeを支払わないLibraryが増えている中で、このLibraryはかなり作曲家に手厚いと言えるでしょう。

 ちなみに右下はデモ音源の送り方のインストラクションですね。デモを送る際は必ず、このインストラクションに従いましょう。

 Royalty Free Musicのサイトも少し見てみましょう

 上は海外のとても有名なRoyalty Free Musicサイトの画像です。

 Production Music Libraryとの一番の違いは、トラック毎に価格の表示があり、ユーザーはショッピングカートから直接、決済して楽曲をダウンロードできる点です。

 Production Music Libraryは著作権の取り扱いが、よりシビアなので通常、この様なオンライン決済は行われていません。例外は存在するかもしれませんが、価格表示のあるトラックを見たら、Royalty Freeモデルである可能性が高いと思って間違いありません。

Source Audio

 Production Music Libraryの多くがSource Audioというカタログ管理のプラットフォームを採用しています。独自のシステムで運営している所もありますが、Source Audioを使っていたらProduction Music Libraryであると考えて良いと思います。

 この様に、オーディオプレイヤーと共に曲のメタデータが記載されています。ダウンロード機能がありますが、これはログインしたクライアントのみがダウンロードできる仕組みになっています。

 価格の表示はありません。クライアントはLibraryに連絡してSync契約を結ぶことになります。

制作スタイルとLibraryの相性

 検索によってProduction Music Libraryを探す事が出来たら、中身を詳しくリサーチして行きます。

プレイスメントの実績

 まず最初に見るべきなのは、どんなクライアントに曲を提供しているかです。トップページにプレイスメント実績を記載しているLibraryが多いので、まずそれをチェックしましょう。

 WebサイトからProduction Music Libraryである事は分かるのに、最近のプレイスメントが一切、書かれていないLibraryは少し疑ってかかったほうが良いかもしれません。詐欺だとまでは言い切れませんが、楽曲を契約するだけしておいて全く売り込みをしないLibraryに曲を送ってしまうと、作曲家にとっては、曲の権利だけを失い、不利益しかありませんので特に注意が必要な部分です。

とあるLibrary Bを例に見てみましょう。

 Library Bでは、多くの企業のロゴが掲載されています。このLibraryではTVコマーシャルでのプレイスメントが多い事を意味しています。Library Bと、契約する為にはTVCMで使われそうな音源を送るのが良い事が分かります。

 具体的には、TVCMはその企業や商品に良いイメージを持ってもらうのが一番の目的なので明るいポジディブで軽快なサウンドが求められます。また、分かりやすさも大事なので先鋭的な曲よりも多くの人に馴染み深い定番のサウンドが好まれます。

 TVコマーシャルはテレビドラマ以上にナレーションによる情報量が多いので、それを邪魔しないシンプルな構成にする方が良いでしょう。

 なかなかアメリカのTVコマーシャルを視る機会はありませんが、グローバルな企業は世界共通のコマーシャルを使っている事もあるので、参考になると思います。上の例ではApple,Nike,Google,Amazonなどのコマーシャルは日本でも視る事ができます。

別のLibrary Cも見てみましょう。

 こちらは、ドラマやリアリティショー、スポーツプログラムなどTV番組系のプレイスメントが多いです。

 有名なドラマ以外は日本からの視聴が難しい番組も多いですが、YouTubeなどにトレイラーを公開している番組も多いので、タイトル等から探してみると、ある程度、雰囲気が掴めると思います。

 TV番組系のプレイスメントは幅が広く、一言で言い表す事は出来ませんが、ダークな感じの番組が多ければ、サスペンス調の曲、アメリカの中西部とかの砂漠を舞台にした番組なら、カラッとした感じのカントリーロックやサザンロックなどギター系の音楽。といった具合にある程度の傾向は掴めるはずです。

カタログの分析

 次に、カタログの曲を実際に聴いていき、自分にフィットするかを調べていきましょう。

 その際、こちらの記事でも書きましたが、カタログ内のジャンルの偏りと需要のギャップを分析して、Libraryが現在、持っているクライアントの需要を満たせていないジャンルを探し出し、そのギャップを埋める様な提案ができると契約、プレイスメント獲得共に、飛躍的にチャンスが増えます。

 とはいえ、そういった分析をするには、それなりの経験値が必要なので、まずは自分の得意なジャンルのプレイスメントを獲得しているLibraryを探せば良いでしょう。

 多くのプレイスメントを獲得しているジャンルは、いわばそのLibraryの強みですから、そのジャンルの曲をより多く契約しています。多くの曲の中で、プレイスメントを獲得していくには、カタログ内の他の曲と比較して同等、もしくは優れたクオリティの曲を提出する必要があります。実際に聴いてみて自分の曲と比べてみてください。

 自分自身で楽曲のクオリティをジャッジするのは中々、難しいと思いますが、こちらの記事で紹介している観点で、比較して自分の気持ちに正直に判断しましょう。

提出から契約までの流れ

 ここまでLibraryの探し方、Royalty Free Musicサイトとの見分け方、自分のスタイルに合っているかのチェックの仕方を解説してきました。

 全ての情報が英語のうえ、Production Music Library自体が、国内ではほとんど知られていない為、結構大変な作業だと思いますが、頑張って自分に合ったLibraryをリストアップして行きましょう。

曲を提出する⇨即契約

ではありません。

 ある程度、リサーチできたらLibraryの楽曲提出ガイドラインに従って曲を送ってみましょう。契約の詳細はあまりWebサイトには記載されていません。Library側があなたの曲にプレイスメントの可能性を感じてくれたら、詳細をメールで知らせてくれるので、その段階で契約内容や諸条件を検討し、納得したら契約書にサインをするという流れになります。

 上でも書きましたが、私は契約している5社に落ち着くまでに40社以上にデモを送っています。曲を送ってもLibraryから返事がないのは、この業界では日常茶飯事なので、あまり気にせず他のLibraryにも送ってみましょう。

主要なProduction Music Library

 参考までに、いくつか大手のLibraryを掲載しておきます。このあたりのLibraryといきなり契約するのはかなりハードルが高いですが、作品のクオリティに自信がある人は挑戦してみても良いと思います。

有料Production Musicビジネスガイド(作成中)

 Libraryの探し方については、「自分で頑張って探しましょう。」という、ちょっと突き放した様な結論になってしまいましたが、頑張ったけど、どうしてもムリだった😢っていう人の為に現在、私が50以上のProduction Music Libraryをリサーチして纏めたディレクトリを含んだ

”有料Production Musicガイド”

を作成中です。

  • Production Music Library ディレクトリ
  • Libraryとの英語でのメールのスクリプト
  • Production Musicビジネス用語集
  • 収益モデルの紹介
  • その他ブログでは未公開のTips

などを収録予定です。公開するプラットフォーム等は未定です。

現在、鋭意作成中ですのでしばらくお待ちください。

最新情報はTwitterでも発信しています。

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