絶対に知っておきたい2種類のProduction Music Library

絶対に知っておきたい2種類のProduction Music Library

 今回はMusic Libraryとの契約に関する超重要項目について書きます。
これだけは知っておかないと、得られる楽曲使用料に大きな差が出るし最悪、著作権侵害で訴えられる可能性すらあります。

 Music Libraryと契約をする前に必ず読んで理解してください。

絶対に知っておきたい2種類のProduction Music Library

 Production Music Libraryは、その契約形態の違いにより大きく2種類に分けられます。

  1. Exclusive Music Library
  2. Non-Exclusive Music Library

 Exclusiveとは直訳すると”独占的な”という意味です。つまりExclusive Music Libraryは、提出された楽曲を独占的に扱う契約を要求するタイプの音楽出版社です。この種のLibraryと契約した楽曲は、他のProduction Music Libraryやそれに類似した音楽出版事業を行なっている会社と契約をする事ができません。

 一方、Non-Exclusiveは”非独占”なので、契約後も同じ曲を複数のLibraryと契約する事が可能です。

音楽出版契約とレコード契約

 ExclusiveとNon-Exclusiveの違いをさらに解説する前に、音楽家に特に関わりの深い契約形態を覚えておきましょう。

  • レコード契約 (Recording Contract)
  • 音楽出版契約(Publishing Contract)

 レコード契約はレコード会社が、アーティストと契約し音源制作費の負担、楽曲のプロモーション、流通などを請け負う代わりに、音源の原盤権を取得し、そこで生まれる利益を受け取るという契約です。

 音楽出版契約音楽出版社(Publishing Company)が作曲家と楽曲の著作権譲渡契約の見返りに、曲の売り込みを行う契約の事です。通常、楽曲使用によって発生する使用料は作曲家と音楽出版社で分け合う事になります。

Production Musicビジネスの契約形態

 Production Music ビジネスの契約は音楽出版契約になります。そしてMusic Libraryが音楽出版社として機能します。

 以前にも書きましたが作曲家は、曲を作った時点でその曲に関するすべての権利を自動的に保持する事になります。これを譲渡する代わりに、TV番組等での楽曲使用を働きかけてもらう仕組みです。

 大事な著作権を譲渡してしまうのは不安に思うかもしれませんが、これが業界の通例であり、音楽ビジネス上の合理的な理由もあります。

 著作権を譲渡する事でMusic Libraryは、楽曲をウェブサイト上のカタログに公開したり、TV番組制作会社等に番組内での楽曲使用を持ちかける事ができる様になります。その際、個別にあなたの承認を求める必要はありません。

 もし権利譲渡が済んでいないと、クライアントが曲に興味を持つ度に、あなたに書面を送り使用許可を求める必要があります。これではスピード感が重要なProduction Musicビジネスの世界では確実に機会損失につながりますので、やはり契約時点での著作権譲渡が必須です。

 もちろん作曲家が、楽曲使用料の適切な分配を受けられる様な契約内容にする必要があるのは言うまでもありません。

 ちなみにこうして権利譲渡を済ませることを

“Music Clearance”

 そして譲渡済みの楽曲の事を

“Pre -Cleared Music”

と呼んだりします。Music Libraryとの会話の中で頻繁に出て来るので、覚えておいて損は無いです。

音楽出版契約→曲単位の契約

 知っておいて欲しいのは、音楽出版契約は作曲家個人ではなく曲単位の契約であるという事です。作曲家自身の振る舞いに関して、なんの制約もありません。複数のMusic Libraryと同時に取引をしようが、別にアーティストとして、レコード契約をしようが自由です。

 ただし音楽出版契約的にはOKでも、レコード会社や音楽事務所との契約がある場合、そちらが他の音楽活動を禁じているケースもあるので、そこは確認が必要でしょう。レコード契約ではアーティスト自身が商品になるのでイメージ保護のためにアーティスト個人に対する様々な制約も発生します。

 話をExclusive LibraryとNon-Exclusive Libraryに戻しましょう。

Exclusive Library

 Exclusive Libraryと契約をすると楽曲の使用に於いて様々な権利をLibraryに与える事になります。具体的には、

  • 曲を発表する場所、タイミング、形式を決定する権利
  • タイトルを決め、改変する権利
  • アレンジ、リミックスする権利

 楽曲の基本的な権利をMusic Library側に独占的に与える事になります。ここまで権利譲渡すると、もはや自分の曲では無い様に感じるかもしれません。実は、法律上その通りで契約後、実質的には、Music Libraryが曲の著作権を持つ事になります。

 あなたが作曲者として使用料分配を受け取れる事に変わりはありませんが、オリジナル曲であってもコンサートで演奏したり、ネットに公開したり、販売する事が出来なくなります。さらに曲が使用された時に作曲者としてクレジットを求めることもできません。

 実際にProduction Musicとして使われている曲のクレジットは作曲家ではなく、Music Libraryの名前である事が殆どです。

訴訟リスク

 これは契約書を伴った、れっきとしたビジネスです。そしてクライアントの大半は🇺🇸訴訟大国アメリカ🗽の会社です。契約書にサインする以上、知らなかったでは済まないので、著作権の所在をしっかり理解する事が超重要です。

 Exclusive契約を結んだにも関わらず、自分のオリジナル曲だからと勝手に演奏したり、公開してしまうと、著作権侵害になってしまい、クライアントの番組などが損害を被った場合、訴訟を起こされる可能性もあります。

 Production Music ビジネスではCNN,BBC,MTVなど、大手の放送局をクライアントにする事も多いです。これらの放送局の番組制作予算は莫大です。著作権侵害によって番組が放送中止にでもなった場合、その賠償額も相当に大きくなるのは明白です。

そうならない為に一番安全な予防策として

  • 曲を作る時点でほかの作曲家の曲を絶対にパクらない。(他人の著作権侵害した曲をオリジナルと称して契約した場合。著作権者から訴えられるのはLibraryではなく作曲家です。)
  • Music Libraryに楽曲情報、作曲家情報を正確に提供する。
  • 契約後、その曲はすでに自分の曲ではないと認識する。

といった事を常に意識しましょう。

 訴訟は恐ろしいですが、むやみに心配する必要はありません。

 私は、Production Music Composerとして700曲以上ライブラリと契約してきましたが、著作権関係のトラブルに巻き込まれた事はありません。私の周辺でちゃんと活動をしている作曲家の友人の間でも、裁判を起こされたという話は一度も聞いた事がありません。上記の予防策を意識して契約を遵守していれば問題は起こらないはずです。

Non-Exclusive Library

 Non-Exclusive契約の場合、曲を公開したりプロモーションしたりする権利をMusic Libraryに与えますが、曲をどう扱うかコントロールする権限を作曲者側に残した契約になります。

 Music Libraryが売り込みをして作曲家は使用料の分配をLibraryと分け合うのは一緒です。作曲家側はその曲の公開、販売、改変などすべてに於いて一切の制約を受けません。同じ曲を複数のLibraryとNon-Exclusive契約を行う事も可能です。

 ここで気を付けたいのは一旦、Non-Exclusive契約をした曲は、他のExclusive Libraryと契約する事は出来ないと言う事です。

 Exclusive契約においてはLibraryが単独で曲の権利を保有するので、たとえNon-Exclusive契約のほうが先に締結されていても、すでに契約されている曲をExclusive契約する事は、契約違反になります。

 オンライン、オフライン問わず、一度でも公開、公演した事がある曲はExclusive契約をしない事が安全と言えると思います。

Exclusive vs Non-Exclusive

ここまで読んできて、どう考えてもNon-Exclusive契約の方が、作曲家にとって有利だと思ったはずです。しかし、実際必ずしもそうとは限りません。

 Non-Exclusive Libraryの契約の自由さは、メリットとして分かりやすいと思います。世の中には数多くの Non-Exclusive LibraryやRoyalty Freeのストックオーディオサービスが存在します。Non-Exclusiveの契約では、楽曲の使用に一切の制約を受けないので、それらの会社といくつも契約を結ぶ事で、ライセンスされるチャンスを広げる事ができるというのは感覚的には正しい様な気がします。

 しかし、個々のLibraryのプロモーション力とライセンスの質、そして登録と、管理の手間を考えると、Exclusive Libraryと契約する方がより多くの楽曲使用料を得られる可能性が高いです。

Non-Exclusiveライブラリのプロモート力

 Non-Exclusive LibraryはExclusive Libraryに比べて契約の審査が緩く、契約しやすい傾向にあると思います。その分、より多くの作曲家が大量の曲を契約して飽和気味になっている所が多い印象です。

 Non-Exclusive LibraryでConsideration Fee、いわゆる契約金を作曲家に支払っている所はほとんどありません。曲を大量に集めてもコストが掛からないので、カタログが大きくなるほど、Libraryは利益を得やすくなります。

 しかし、個々の作曲家にとっては、せっかく契約した曲のプロモートをまったくしてもらえないか、あっても十分に行き渡らずに多くの曲がカタログの中で眠った状態になりがちです。Royalty Free のストックオーディオサイトに関しても同様の事が言えます。 

ライセンスの質

 Non-Exclusive Libraryの一番の問題点はカタログにある曲が、他のLibraryに存在するかも知れないという事です。大手のクライアントは、多少コストが掛かっても出どころのはっきりした、そこにしか無い曲を求める傾向にあります。また著作権関連のトラブルを避ける為、日頃から取引のある信頼のおける特定のExclusive Libraryからハイクオリティな楽曲をライセンスする事が多いです。

 こうした理由から、Non-Exclusive Libraryのクライアントは個人の映像クリエイターや小規模なプロダクションになりがちです。

 Production Music Libraryとの契約はサインしてしまえば作曲家側は特にやる事はありませんが、それでも10社も20社も契約すれば、それぞれに提出するデータを用意するのも手間ですし、ちゃんと著作権管理団体のデータベースに登録されているかどうかを確認するだけでも大仕事です。

Exclusive Libraryと契約するメリット

 Non-Exclusiveの項で、ほぼ説明しましたがExclusive Libraryは契約のための審査が厳しく、Non-Exclusiveに比べて狭き門となっています。最近は、珍しくなってしまいましたが、契約に際して$50〜$500くらいのConsideration Feeを支払う所もあります。

 限られた数の曲しか契約しないので、質と需要の高い楽曲がカタログに並びます。ウェブ上のカタログだけでなく、専門のセールススタッフが大手のクライアントとコネクションをもっており、直接、売り込みに行ってくれるので、曲をライセンスしてもらえる可能性が高まります。

 メジャーな放送局の番組内の単体のライセンス料が必ずしも、マイナーなプロダクトの物より高額だとは限りませんが、大手の番組は繰り返し再放送されたり、放映権を海外の放送局が買い取ってグローバルに放送される可能性があり、その都度、同じ曲が繰り返し使用される結果、使用料の分配が大きくなる可能性が高くなります。

 楽曲の質、信用の高さから大手放送局をクライアントとして持つところが多く、質の高いライセンスを得られる事が、Exclusive Libraryと契約する最大のメリットです。

どちらと契約するのかは自分次第

 Non-Exclusiveの利点はその自由度と契約のしやすさ、Exclusiveの利点はプロモート力だと言う事をご理解頂けたでしょうか。

 近年のトレンドとして、多くのNon-Exclusive Libraryがポリシーを変更してExclusiveになっています。私自身が契約しているLibrary5社はすべてExclusive契約です。

 Non-Exclusiveの中にも、高い審査基準をもうけクライアントにも積極的に売り込みをかけ、高い成果を上げているLibraryもありますし、形だけで全くダメなExclusive Libraryもあります。楽曲の権利だけ取られてまったくプロモーションしてもらえないのは最悪です。楽曲を提出する前によくリサーチしてみる事をお勧めします。

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