Production Musicビジネスの収益の種類
- 2020.01.19
- Production Musicビジネス徹底解説
- DTM, DTM 仕事, DTM 稼ぐ, テレビ BGM 仕事, テレビ 作曲家, 作曲, 映像音楽, 音楽ビジネス, 音楽稼ぐ ビジネス 音楽ビジネス
海外のTV番組にDTMで楽曲提供するProduction Musicビジネスの収益の種類について解説します。
Production Musicビジネスの収益3種
Production musicビジネスには収益を得る方法が3つあります。
- Consideration Fee(Demo Fee)
- Sync Fee
- Backend Royalty
それぞれ解説していきます。
Consideration Fee(Demo Fee)
Consideration Feeは作曲家とLibraryと著作権譲渡契約を結ぶときに、Libraryから作曲家に払われるお金です。通称”Demo Fee“とも呼ばれます。
以前はミュージシャンをブッキングしたり、スタジオを借りたりと、音源を作る為にかなりの費用が必要だったので、制作費の名目で支払われていた名残りです。
Consideration Feeの良いところは曲がライセンスされるかどうかに関わらず、前払いされる点ですが、適用されるのはExclusive契約を行うライブラリのみです。
Non-Exclusive契約の場合はそもそも曲の独占権を求めないのでConsideration Feeは支払われません。
■残念なお知らせ
以前は多くのExclusive LibraryがConsideration Feeを支払っていましたが、現在では一部の大手Libraryを除いて支払わない契約がスタンダードになってきています。DTM環境やパソコン、インターネットなどテクノロジーの発達で楽曲の制作コストが大幅に低下した事が理由です。
Sync Fee
曲がMusic Supervisorによって選ばれた時に、クライアント(TV番組制作会社等)からLibraryに支払われるお金です。曲の使用状況に関わらず、使用許諾そのものに対して1回限り支払われます。Libraryは作曲家との契約にしたがって、これを分け合います。割合はそれぞれ契約により異なります。
■また残念なお知らせ
近年、Library側がSync Feeを作曲家に分配しない、もしくは、そもそもクライアントに請求しない内容の契約を提示されるケースが非常に多くなってきています。これに関しては賛否両論ありますが、私的にはSync Feeはちゃんと作曲家に支払われる事が望ましいと考えているので、そうでない契約はしない事にしています。
Backend Royalty
楽曲の使用に応じて著作権管理団体(PRO)から作曲家とLibrary(音楽出版社)に支払われる楽曲使用料です。一般的に印税と呼ばれています。放送局など楽曲使用者が提出するCuesheetという報告書に基づき、3ヶ月に一度、分配額が計算され支払われます。作曲家とLibraryの分配率は通常、50%:50%です。
著作権管理団体についてはこちらの記事で解説しています。
■嬉しいお知らせ
ここまでConsideration Fee、Sync Feeが、あまり支払われなくなってきていると書きましたが、実はProduction Musicビジネスにおける作曲家の収益のメインはこのBackend Royaltyです。
前述の二つに関しては、業界の変化に伴い、場合によってはLibrary側の提示する条件を検討しても良いでしょう。しかし、Backend Royaltyは、作曲家側のもっとも大事な収入源になりますので、あまり簡単に譲歩してはいけません。
分配率を50%:50%と書きましたが、業界の慣習では、これを100%:100%で総額を200%として計算します。
同じことじゃないか!?と思うかもしれませんが、実は大違いなのです。
この違いにBackend Royaltyの分配率を譲歩してはいけない大きな理由があります。
総額を100%として計算した場合:
作曲家1人、Publisher1社だったら単純に50%:50%なので簡単です。
しかし実際には様々な理由で、いくつかのPublisherが共同出版する、もしくは数名の作家が共作する等、権利者が複数になる事があります。
例えば一人の作曲家が書いた曲を出版社3社の共同出版、権利者が全部で4人になり、それを単純に分け合うと
100%÷4人=25%
となり、一人あたり25%の受け取りになります。
しかし、これはおかしいと思いませんか?作曲家は本来、総額の50%を受け取れるはずが、出版社側の事情で25%も少なくなっています。
逆に出版社が1社で、3人の作曲家が共作した場合も、作曲家側の都合で出版社の受取額が変わってしまうのはやはり問題があります。
総額を200%として計算した場合:
そこで、総額を200%として計算する方法を使います。まず全体を作曲家側100%、Publisher側100%の半分に予め分けておきます。
それぞれを別々に計算します。上の例で言うと
作曲家1人、音楽出版社3社共同出版のケース
・作曲家側:
100%÷1人=100%(著作権料総額の半分)
・音楽出版社側:
100%÷3人=33.333%(1社あたり総額の16.5%)
のように計算します。
作家側、Publisher側の取り分を予め分けて計算する事で、お互いの著作権者の人数の増減が他方の取り分に影響しない仕組みです。
その際に分割した後の金額を100%とした方が分かりやすいので、このように著作権使用料の総額を200%とする方式が取られています。
作曲家側の100%は(Writer’s Share)と呼び、Publisher側の事情に関わらず本来、作曲家が受け取る権利がある部分です。なので、これを削る契約を求めてくるLibraryとの契約はあまりお勧めできません。
*ただし何事も交渉なので明確な理由がある場合はこの限りではありません。
例えば
・Writer’s Shareを放棄するに見合った金額が前払いされる買取契約の場合。
・Writer’s Shareの減額を差し引いても十分な使用料が長期的に入ってくる可能性が高い大型のプレースメントが確約されている場合
Consideration FeeやSync Feeに関しても同じ事が言えますが、その条件が自分の利益になるかをよく検討して決断しましょう。
Production Musicビジネスの具体的な進め方をこちらの記事で解説しています。
-
前の記事
Production Musicビジネスって稼げるの?[即答、稼げます] 2020.01.10
-
次の記事
著作権管理団体について[作曲家の味方?悪の組織?] 2020.01.21