音楽ビジネスの根幹:著作権の基礎の基礎
- 2019.12.26
- Production Musicビジネス徹底解説
- BGM, 著作権, 音楽, 音楽ビジネス
Production Musicビジネスはもちろん、全ての音楽ビジネスの
根幹になる音楽著作権の基礎の基礎について解説します。
曲が出来た瞬間=著作権が発生する瞬間
オリジナル曲の著作権はいつ生まれるかご存知でしょうか?
よく聞かれる質問として
曲を作ったら、著作権をどこかに登録をする必要がありますか?
というものがあります。
答えはNoです。
日本をはじめ政治的、文化的に発展した国では曲が生まれた瞬間に、その曲に関わる全ての権利を作曲者が自動的に保有する事が法律で保障されています。
曲が生まれた瞬間というのは、テレビで曲が使われたとか、CDに収録されたとかではなく、曲のアイデアが耳に聞こえる形で固定された時点です。
自分の頭の中のアイデアがあるといった段階ではダメです。楽譜に書く、スマホに録音するなど自分以外がその曲を聴き、自分以外の人が作品を認識できる形で再現が可能にした瞬間に著作権が発生します。
それがどんなに稚拙であっても、落書きみたいな楽譜でも、お母さんの鼻歌でもスマホに録音すればお母さんはその曲の著作権者ということになります。
あなたが著作権を持っている曲は、誰であろうと、あなたの許可なく公の場で演奏したり、ネットに公開したり、販売する事はできません。
*曲が出来た瞬間に全ての権利を自動的に持つという事を理解する事が、音楽ビジネスをやる上ではとても大事です。なぜなら、楽曲の権利こそが作曲家の大事な商品だからです。*
楽曲から収入を得る方法💰
著作権が自動発生するという事を理解した上で、この権利の一部は他人に譲渡可能だという事を知る必要があります。
楽曲から収入を得るためには、曲を誰かに使ってもらいその対価として著作権使用料を徴収する必要があります。しかし、現実には作曲者本人が曲を売り込み、使用された記録をチェックしてその都度、使用料の請求するのはほとんど不可能ですし、合理的ではありません。作曲家は良い曲を作ることに多くの時間を割くべきです。
そこで作曲家は著作権の一部を音楽出版社に譲渡し、音楽出版社はその権利を持って、レコード会社や放送局に曲を利用してもらうように働きかけ、作曲家と音楽出版社で著作権使用料を分け合うというのが、音楽ビジネスの基本構造となります。この使用料の事を世間では”印税”と呼んだりします。通常、使用料の徴収と分配はJASRACの様な著作権管理団体が行います。
著作権管理団体に関してはこちらの記事で解説しています↓↓↓
大事なのは権利の所在を理解する事
私たちの日常には音楽があふれています。アーティストの歌はもちろん
TVドラマのBGM、CM、店頭のBGM、ゲーム、最近ではYoutube動画など。
そこにも必ず作曲者がいて、著作権が存在します。
しかし全ての楽曲に対して音楽出版社との著作権譲渡契約が行われている訳ではありません。
現実には作曲家と楽曲使用者の間で一定額の前払いなどの条件のもと、著作権を放棄するケースも沢山あります。そのやり方が必ずしも悪い訳ではありませんが、大切なのは作曲者として本来持っている権利をしっかり認識して、不平等な条件の元に簡単に放棄しない事です。
作曲家の立場から最低限知っていた方が良い著作権のお話でした。今回、書いた内容は著作権の中でも、著作財産権という部分にフォーカスしています。
他にも楽曲に関わる権利として著作人格権という物もあり、仕組みは複雑です。しかし、作曲を生業にしたいと考えているなら、大事な商品である楽曲の権利については理解を深めておく事が望ましいと思います。
今後もこのブログでは、特にProduction Musicビジネスに関わる著作権の仕組みを解説していきます。
私は弁護士ではないので、権利や法律に関する個別のアドバイスなどはできません。著作権に関する詳細は書籍などを参考にして下さい。
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