Production Musicビジネスに必要な英語力とは?
- 2020.02.01
- Production Musicビジネス徹底解説
- 英語 学習, 音楽 ビジネス 英語
Production Musicビジネスに必要な英語力
Production Music ビジネスは海外の音楽出版社と契約して曲を売り込んでもらい、楽曲使用料を得るというビジネスモデルですので、どうしてもある程度の英語を使う必要性があります。
この記事では、Production Musicビジネスで成功する為に必要な英語力について書きたいと思います。
アメリカ中心のビジネス
ここで海外とは主にアメリカをはじめとした英語圏の事を指します。Music Library、クライアントとなる番組制作会社共に、大多数はアメリカの会社です。
またPROとしてJASRACに加入するので無ければ、恐らくASCAP,BMIのどちらか選ぶ事になります。当然、すべての情報やコミュニケーションは英語です。
最低限必要な英語力
Production Music Composerとしての一番の仕事はハイクオリティな楽曲をなるべく沢山、Music Libraryに送り契約を得る事なので、高度なビジネス英語を駆使する必要は全くありません。
ただしLibraryや海外PROとのメールのやり取りや、契約には最低限の英語力は必須になります。また業界の情報収集やコミュニティへの参加など、英語が出来た方が便利な局面は多くあります。
「英語が出来る」と、ひとくちに言っても様々なレベルがありますが、私は高校卒業程度の英語力という風に表現しています。
イメージとしては
- 基本的な構文が分かる(主語、述語、形容詞、副詞、関係代名詞など)
- 時制が使いこなせる
- 能動態、受動態を理解して動作の主体が分かる
- 難しい単語を調べながら言いたい事を表現できる
- 実践として英語で簡単なメールを書ける
- 英語のニュース記事を単語を調べながらでも読んで理解できる
といったレベル感です。上のリストを見て、
「ちょっと何言ってんのか分からない🙄」
っていう人は正直、まずしばらく英語を勉強する必要があるでしょう。
言っている事は分かるけど、
「英語なんて使っていないし、あまり自信ないな😓」
っていう感じであれば、最初はかなりハードルが高く感じるかもしれませんが、すぐに慣れます。英語はそんなに大きな問題になりません。
英語についてもう少し、深掘りしていきます。
英語ができる人ってどんな人?
世の中には、英語が出来ます。特技です。とおっしゃる方が、芸能人、一般人含めて、沢山いますが、どのレベルに於いて出来ると言っているかは本当に人それぞれだと思います。
以前、○ピード○ーニン○という有名な英語教材のCMに出ていた某若手アスリートは、失礼ながら発音や構文力などを聞く限り、とても英語ネイティブスピーカーとコミュニケーションが取れるレベルだとは思えませんでした。人気者とはいえ、よくあれで英語教材のCMに起用したなー💦、と個人的には思っています。
逆に10代からアメリカで生活していたプロテニスプレイヤーの錦織圭選手などは、インタビューなどをを聴く限りほとんどネイティブと同レベルの流暢な英語を話しています。彼の場合、発音だけでなく、英語独特の言い回し、ウィットに至るまでほぼ完璧な英語を話している印象です。
しかし、この両者に共通して言えるのは本業はアスリートであり英語は必要だから、学んだ手段でしかないと言う事です。事実、アスリートとしては両者とも輝かしい実績を残しています。
何が言いたいかと言うと、今、貴方が英語に苦手意識があり、急に英語が必須だ!と言われても、ビビる必要は無いと言う事です。Production Musicでは錦織選手のレベルの英語力はまったく必要ありません。というか、私も全然そのレベルではありません。
前者の方のレベルではちょっと困りますが(汗)、高校レベルの英語をちゃんと理解できれば、あとは実践を重ねながら一生懸命に勉強していけば、すぐに問題無いレベルになれるはずです。
言語習得の4つの要素
英語に限らず言語習得には4つ要素があります。
- Reading(読解力)
- Listning(聞き取り)
- Writing(作文)
- Speaking(会話力)
これをさらに分類すると、
- Reading/Listeningは受信のスキル
- Writing とSpeaking;発信のスキル
といえます。
つまり前者は与えられた文書や誰かが話した内容を理解すればOKで、後者はは自分発信で想いを表現しなければいけません。
別の分類もしてみましょう。
- Reading /Writing:1人の作業:自分だけのペースで
- Listening/Speaking:対話:相手とペースを合わせる
前者は、一人の作業ですから、分からない言葉は調べたりしながら、自分のペースで行う事ができます。
後者はどちらもリアルタイムで進行していく会話のスピードについていく必要があります。ボキャブラリも必要ですが、それ以上に、じっくり考えている時間はないので感覚的に理解し、表現する能力が求められます。それには慣れとかなりの集中力を要します。
なぜこの様な分類したかというと、この二つの分類が多くの英語学習者の壁になるケースが多いからです。
多くの人が最も苦手とするのがSpeakingではないでしょうか?
上記の分類によれば
”自分発信で、リアルタイムに表現しなければならない”
ので最も難しいと言えます。
次にListeningとWriting は、自分発信が難しい人、リアルタイムのスピード感についていけない人に分かれると思うので、どちらが難しく感じるかは、人それぞれかも知れません。
最後にReadingですが、自分のペースで与えられた情報を理解すれば良いので、4つの要素の中ではもっとも簡単と言えるでしょう。
4つの要素の難易度:
- Speaking(高)
- Listening(中)
- Writing(中)
- Reading(低)
Production Musicビジネスで最重要なのは?
英語が苦手な人に朗報なのは、Production Musicビジネスで一番必要なのはReading力だということです。
Reading
Production Music Libraryのウェブサイトで、楽曲提出の要項を読み、理解して。楽曲提出します、気に入ってもらえたら担当者とのメールのやりとりになりますが、楽曲修正の依頼等に対する返事を書くだけなので、それほど難しい文章を書く必要ありません。
そして無事に曲が承認されると、ここで最初の難関が訪れます。契約書へのサインです。こればかりは英語に慣れた人でもすぐに理解するのは難しいですが、ここは頑張りましょう。
もし、どうしても大変ならば英語が得意な人に依頼して、最初は全文を日本語訳してもらっても良いでしょう。
契約書を隅々まで理解する
初めて契約を結ぶ際は、必要なら日本語の対訳を作って内容をよく理解するまで隅々まで読み込む事を強くお勧めします。
ひとつには契約事ですから、違反すれば訴訟を起こされる可能性もあるので万全を期するという意味。
もうひとつは、これをやっておくことで次以降の契約が格段に楽になるからです。
契約書の書式や内容というのは条件面以外は、どのライブラリでも大体、似た様な感じであることが多いです。
新しいライブラリと取引開始するたびに契約書にサインしますが、一度、契約書を熟読していれば、チェックすべきポイントが分かり、確認にかかる時間を大幅に削減できる筈です。
単純に著作権関連の勉強にもなります。
なかなか大変な作業ですが、こちらの記事で契約書におけるチェックポイントなどを実例を交えて紹介しています↓
Writing
Writingは、Music Libraryの担当者とのEメールのやり取りで少し必要になります。しかし、基本的な条件面などは相手から提示されますし、基本的にはその条件を受け入れるかどうかだけしっかり返事できればとりあえずは大丈夫です。
Listening
Listeningに関しては、主に情報収拾に必要になります。Production Musicビジネスや音楽ビジネス全般に関して解説した英語の動画がYoutube等にたくさんアップされているので理解できると大変参考になります。
ただ、そういった動画を理解できなくても、Production Musicビジネスに必要な情報は、このブログで少しずつ書いて行くので大丈夫です。
Speaking
Production Musicビジネスのやり取りは99%メールです。スカイプなどで話したいと言われることもあるようですが、私は経験したことがありません。Speakingはほぼ必要ないと言っても良いでしょう
私の英語力
実際、Production Musicビジネスを8年以上やっている私の英語力、学習方法なども紹介しておきます。
英語との関わり
私は高校卒業してすぐに音楽家として活動を始めたので、最終学歴は高卒ということになります。中学時代は割と勉強はできた方で、高校は地元ではそれなりの進学校に通っていました。英語も割と得意な方だったと思います。しかし音楽に目覚めてしまったが為に、高校ではまったく勉強せず、英語の教科書はほとんど開いた記憶がありません。
それから数年後、ふと思い立って渡米する訳ですが、その時は流石に半年ばかり猛勉強しました。
しかし、そんな付け焼き刃ではどうにかなるわけもなく、渡米してしばらくは、数々の恥ずかしいエピソードをアメリカの大地に刻んでしまいました。
最初はタクシーにも乗れない、スーパーで買い物も出来ない、さらには入国審査でまともな受け答え出来ず、別室に連れていかれるレベルの英語力でした。
しかし人間、死に物狂いでほんとに生死がかかってくると、なんとかなるもので、渡米三ヶ月くらいで日常的な英語は大体聞き取れる様になり、マクドナルドで「ビッグマックのピクルス」を抜いてくれという事ぐらいは言える様になりました。
その後4年半滞在した後は、相変わらずアカデミックな英語はさっぱりですが雑談なら何時間でも、というレベルでした。
学習について
帰国して10年以上、経ちますがやはり日本では日常的に英語を使う機会がほとんどありません。しかし、今はYoutubeなど英語に触れる機会が作りやすいので、新しいソフトシンセの解説や音楽制作のチュートリアルなどを可能な限り英語で見る様にしています。
あとはエンターテイメントもNetflixなどでアメリカドラマを沢山見ているので英語力は在米時と同じか、ボキャブラリの面ではやや上達していると思います。
ちなみにこれはProduction Musicのトレンドリサーチを兼ねています。
😚😚
決して、Hawaii Five-Oにハマって全シリーズ観ている訳ではありません。断じて違います💦
そして、別にLostやNCISが超面白い!っていう訳でもありません。本当です💦信じてください💦
世の中には短期間でマスターできると謳ったものや、聞き流すだけでOKという教材が多く出回っています。しかし10年以上英語と格闘している身としては、語学学習にショートカットは無いというのが持論です。
ご自身が日本語を習得したプロセスを思い出してください。
生まれた直後はもちろん何も知りません。そこから親が喋る日本語を聞き最初の一言を発し、幼稚園で先生や友達とコミュニケーションが取れる様になり、小学校に入り文字を覚え、本を読んだりして徐々にボキャブラリを増やしていきます。
相手の話している内容を理解し、相手に不快な思いをさせない表現、気遣いをしながら自分の意見を正しく伝えられる様になるのは普通、高校生くらい、多少しっかりした子供でも中学生くらいではないでしょうか?
ほとんどの日本人がビジネスレベルで日本語が操れる状態になるまで、少なくとも10〜15年くらいかかっている筈です。
つまり大人になってから語学を学習するというのはこのプロセスを可能な限り早回しする、ということに他なりません。
1つの言語を習得すると2つめは短期間でマスターできると言われていますが、良い教材を使って効率を上げることは出来ても、言語をマスターする為に膨大な知識や経験、その文化に対する理解が必要であることには変わりないと思います。
まとめ
語学習得は一朝一夕では行きませんが、Production Musicビジネスの場合、肝心なのはやはり音楽の質です。英語はやりながら学んでいけるので恐れずに挑戦してみる事をお勧めします。
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