音楽出版契約を勝ち取る最強ストラテジー
- 2020.02.18
- Production Musicビジネス徹底解説
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音楽出版契約を獲得する為の最強ストラテジー
Production Music コンポーザーにとって成功への第一歩はProduction Music Libraryと音楽出版契約をして曲をカタログに登録する事です。
こちら記事で Libraryに曲を送る流れについて触れました。
この記事の中で曲を送る際はジャンルに統一性のある10〜12曲をまとめて送ると良いと書きました。今回は、なぜ10〜12曲を送るのが良いのか、またLibraryとより多くの曲を音楽出版契約してProduction Musicビジネスで成功を収めるための基本的なマナーやマインドセットについて解説します。
なぜ10〜12曲をまとめて送ると良いのか
通常、Libraryは作曲家から集めた曲をジャンルや用途、雰囲気などで分類して10〜12曲のアルバム形式にまとめてカタログに追加します。つまり、複数の作曲家の曲を寄せ集めたオムニバス形式での公開になります。
ここでカタログ登録に至るまでのLibrary スタッフの作業を知っておきましょう
- 日々、作曲家から送られてくる膨大な量の曲を受け取る
- 曲を聴いて、契約できそうな曲を選び出す。
- 作曲家に連絡をして、契約内容の交渉。
- 新規に契約した曲を聴き直し、アルバムのコンセプトを考る。
- コンセプトにフィットする曲を集める。
- 10〜12曲をまとめてアルバムを作成。
- 各曲の作曲家の情報をそれぞれ集め、メタデータを入力する。
- カタログに追加します。
- PROに楽曲を登録
とても手間のかかる作業です💦
⭐️そこで、あなたの最強ストラテジーの出番です⭐️
作曲家からジャンル、雰囲気などで統一性のある曲を10〜12曲まとめて送ってきて、例えば、
あなたのLibraryはドラマ音楽のプレイスメントが沢山ありますよね?私の曲はドラマ系の音楽の中でも〇〇な特徴がありまして、きっとお役に立てると思います。
・〇〇な感じのドラマのBGMで使えそうな曲を12曲作りました。
・Sub-mixも5ヴァリエーションくらい作成済みです。
・こちら、全曲メタデータです。
✨よかったら契約してもらえませんか✨
と売り込んで来たらどうでしょうか?
各曲のクオリティが充分に高くて、ニーズに合っていたらLibraryスタッフは大喜びするはずです。なぜならこの提出の仕方だと、Libraryスタッフが曲をカタログに登録する手間を大幅に減らす事が出来るからです。
スタッフの利点をまとめると
- ○アルバムのコンセプトを考える必要がない。
- ○曲をあちこちから引っ張ってくる必要が無い。一瞬で選曲終了。
- ○複数の作曲家の契約書を用意する必要が無い。
- ○メタデータ登録に作曲家の情報をかき集める必要が無い。(あなたの情報を全曲にコピペして終了)
仮にLibraryスタッフのある1日のノルマがアルバム1枚分をカタログに登録する事だとすれば、このスタッフは午前中に作業を終えて、退社して昼間からビールを飲み始める事でしょう🍻。
最強ストラテジーはLibraryに好かれる事❤️
Production Musicビジネスと似ている物として、ロイヤリティフリー音楽のライセンス販売があります。両者の違いの一つとしてカタログ登録までのプロセスが挙げられます。
ロイヤリティフリー音楽販売サイトでは、一部、楽曲のクオリティ審査はあるものの、カタログへの登録はシステムが用意されていて作曲家が自ら曲をアップロードして情報を入力する事で自動登録されるものがほとんどです。そして販売も基本的にシステム上で行うのでセールススタッフ等はいません。
しかしProduction Music Libraryの場合、アルバムのコンセプト作り、選曲、作曲家との契約から曲の売り込みまで専門のスタッフがおり、すべて人を介して行います。なのでLibraryスタッフとの信頼関係の構築がとても大切になってきます。
かといって、一緒にお酒を飲んで接待したり賄賂を送れという意味ではありません。 Libraryスタッフとのやり取りは基本的にメールで行います。
ニーズに合ったハイクオリティな曲を作ることは大前提ですが、ソフトシンセや自宅録音のテクノロジーが進歩した今、ハイクオリティな曲を提供できる作曲家はたくさんいます。その中で、頭ひとつ抜き出てパブリッシング契約を勝ち取るには人として、ビジネスマンとしてのマナーを守り、相手にとって有益な人材と思ってもらう事が最強のストラテジーです。
基本的なポイントをまとめていくと
- ニーズに合ったハイクオリティな曲を作れる。
- メールの返信が早い。
- 締め切りを守る。
- 基本的なビジネス構造や権利関係のルールを理解し、契約を遵守できる。
- Libraryと作曲家はビジネスパートナーであることを理解し、Win-winな関係を築ける。
これらは他のビジネスでもまったく同じ事が言えると思います。当たり前すぎると思うかもしれませんが、継続的に高いクオリティで続けられる人はとても少ないのが実態です。特に作曲家という気難しい人が多い中では、極めて希と言っても良いかもしれません。
次に、これを継続的に実行すると作曲家にどんなメリットがあるかを解説します。
”Inner Circle Guy=輪の中の人”
大手のLibrary では、400人以上の作曲家と契約しているところもあります。中小規模でも100人以上はいます。。
ただし、この400人がすべてコンスタントに曲を提出しているかと言うと実際はそうでもありません。
一つのLibraryに継続的に曲を提出している作曲家は大手でも10〜20人くらいだと思われます。他の380人くらいは、一度、曲が採用された後、2度目で不採用になって諦めたり、他のライブラリを探したりして、継続的にカタログに貢献できていない事が殆どです。
Libraryはたくさんあるので、自分に合わないとか、あまり売り込みをしてくれず、利益が出ないと感じたら他を探しすのは全然アリですし、複数のMusic Libraryと同時に取引しても大丈夫ですが、もし業界で継続的に質の良い楽曲使用を獲得しているLibraryが見つかったら可能な限り多くの曲の契約を獲得したい所です。
以前、Libraryのスタッフと話をした時に、コンスタントに曲を提出しLibraryのカタログに貢献する作曲家の事を“Inner Circle Guy”とか“Our Guy”と読んでいたのが印象的でした。Librayにとってはどうしても自分たちの輪の中に置いておきたい人材だと言う事です。
大手Libraryが作曲家にとって、かならずしも良いわけではありませんが、業界で確かな実績と知名度を持っているLibraryの ”Inner Circle Guy”になる事が出来れば、Production Music ビジネスの成功はほぼ確実と言えるでしょう。
Inner Circle Guyになるメリット
Inner Circle Guyになるメリット、まず曲の契約が簡単になります。こちらとしてもLibraryの傾向を熟知していますし、相手も継続的に曲を預けてくれた信頼と安心感がありますので、契約がスムーズに進みます。書類上も2回目以降の契約は手続きが簡単になります。
そして最大のメリットは指名での音楽制作依頼(Custom Job)を受ける事ができる様になる事です。
Libraryには稀にTV番組制作会社から、音楽制作依頼が入ります。これは印税契約ではなく買取契約のケースが多いのですが、潤沢な資金を持った大手からの依頼が多く買取額も非常に高額です。
一例として、全米で公開予定の広告キャンペーンの曲制作なら、3分くらいの曲で買取額100万円を超えるケースも珍しくありません。私は一度だけ受注したことがあります。私の場合、一曲仕上げるのに3日以上かける事はまず無いので
日給33万円くらいです。そう滅多に有るものではありませんが、Production Musicビジネスの世界ではこういった案件が確実に存在します。
世界同時公開のキャンペーンというのもあります。私は経験がありませんので、正確な金額は分かりませんが、上記の金額をはるかに超えることは想像に難くないです😍
通常、カタログ向けに作る曲は、登録されても最終的にライセンスされなければ利益を生み出しませんし、印税額も受け取るまでわかりません。どんな曲が需要があるのか自分でリサーチする必要もあります。
Custom Job案件は本採用になるまでのリテイクがやや多いものの、曲が使用される事がほぼ確約されています。リクエストに応じて書くので、コンセプト設定で悩む必要がありませんし、完成と同時に利益が確定します。
作曲家にとっても大変オイシイ話ですが、基本的にLibraryは作曲家の利益に応じて利益を得るビジネス構造なので、彼らとしても大チャンスです。当然のことながらこの大事な案件を任せられるのは、制作実績と信用を得ているInner Circle Guyということになります。
なるためには?
前述の最強ストラテジーを淡々と実行し続ける事です。パブリッシング契約が取れたら、継続的にハイクオリティで相手のニーズに沿った曲を提出し続けましょう。曲が不採用になるもあるでしょうが、挫けてはいけません。継続的に曲を提出するうち、採用されやすい曲の作り方も分かってきます。徐々に採用率は少しづつ上がっていくはずです。
取引が半年、1年と続くとLibraryの信頼を勝ち得て、“Inner Circle Guy”として扱ってもらえる様になるはずです。
具体的なProduction Music制作方法(実際の曲を基に解説します)
まとめ
Production Music ビジネスで成功するために最も大事なのは、サービスマインドを持つ事です。Production Music Composerはアーティストとは違います。ハイクオリティでニーズに合ったサービスを継続的に提供する必要があります。それによりMusic Libraryから信頼を得ることができ、結果として貴方により大きな仕事をもたらしてくれる事になるはずです。
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