Production Musicビジネス入門①[概要]
- 2019.12.31
- Production Musicビジネス徹底解説
- テレビ BGM 仕事, テレビ 作曲家, テレビ 音楽, ロイヤリティフリー, 音楽ビジネス, 音源
いよいよブログのメインテーマであるProduction Music ビジネスの紹介します。
ちなみにブログの著者は日本在住ながらアメリカのProduction Music Libraryと呼ばれるタイプの音楽出版社5社と契約をして、CNN,BBC,MTVをはじめ、大手放送局の番組に年間100曲以上を提供しています。
DTM環境とインターネットさえあれば誰でも実践可能な内容なので、是非一読下さい。
Production Musicビジネスとは
冒頭にも書きましたが、Production Music Libraryと呼ばれるタイプの音楽出版社が、アメリカを中心に沢山存在します。
彼らの仕事は作曲家から曲を集め、著作権を譲渡する契約を結び、権利関係をクリアにした後、カタログを作成しクライアントに楽曲使用を促す事です。
著作権譲渡契約を結び、権利関係をクリアにする事を
”Music Clearlance”
権利譲渡を済ませた曲の事を
”Pre-Cleared Music”
と呼びます。
そして、そのカタログを持ってTV制作会社の音楽担当や選曲家(Music Supervisor)に売り込みます。無事、曲が使用されるとその楽曲の著作権使用料を作曲家と分け合って受け取ります。
作曲家、Librry、それぞれの視点で解説すると
■作曲家の視点:著作権の一部を譲渡する代わりに、本来なら接触の難しいクライアントへの売り込み、著作権管理団体への楽曲登録を代行して音楽を収益化する手助けをしてもらえる。
■Production Music Libraryの視点:作曲家から権利譲渡される曲こそが彼らの商品であり、それを売り込む事で著作権の分配を受け取る事が出来る。
これで分かる通り、作曲家とLibraryは極めてわかりやすいWin-Win関係になっています。
作曲家にとっては良いLibraryと出会う事、Libraryにとっては、ニーズのある曲を高いクオリティで提供してくれる作曲家と契約する事がビジネスの成功の鍵になります。
著作権使用料の分配
ちなみに著作権使用料はLibraryから直接、支払われるのではなく、楽曲使用者がCuesheetと呼ばれる、番組内での使用曲の情報が書かれた報告書を著作権管理団体(Performing rights Orgarnization)に提出し、それを元に計算された著作権使用料が作曲家とLibraryに3ヶ月に一度、分配されます。
著作権管理団体に関してはこちらの記事で解説しています。
ロイヤリティフリーストック音源ビジネスとの違い
こちらの記事でロイヤリティフリー音源のライセンスを販売するビジネスについて解説しています。
楽曲をカタログ化してライセンスを販売する点では、Production Music ビジネスとよく似ていますが使用料の徴収の仕方に大きな違いがあります。
Production Music ビジネスの場合、Libraryは契約した曲を著作権管理団体のデータベースに登録し、使用状況が監視されます。楽曲が使用される度に、使用料が発生し作曲家はそれを受け取る権利があります。
一方、ロイヤリティフリー音源は、ライセンス購入時に使用料を徴収した後は、購入者は許諾や、使用料を気にする事なく音源を使えます。
作曲家の立場でいうと、ロイヤリティフリー音源は購入時しか利益を生みませんが、Production Musicの場合、楽曲が使用されたコンテンツが繰り返し放送されるたび、収益が繰り返し発生します。たった一度のライセンスが数年に渡って利益を生み出し続けるケースも珍しくありません。
クライアントの違い
Production Musicビジネスの、主なクライアントはTVやラジオ番組の制作会社、映画制作会社、ゲーム制作会社、アドエージェンシーなどです。放送事業者にはコンテンツで使用するすべての音楽を著作権管理団体に報告する義務があります。これによりすべての楽曲使用をモニタリングする事が可能になります。
一方、ロイヤリティフリービジネスのクライアントは個人の動画制作者や小規模な事業者などで、多くのコンテンツはインターネッ上で公開されるので、旧来の著作権管理の仕組みの対応が追いついていない状況もあります。ロイヤリティフリーのビジネスモデルは理にかなっていると言えます。
このクライアントの違いにより、Production MusicビジネスではCNN,BBC,MTV,CBSなど大手放送局のTV番組などにライセンスする事が可能となっています。
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