Production Musicビジネスって稼げるの?[即答、稼げます]
Production Musicビジネスって稼げるの?
2020年代の音楽家の新しい可能性としてProduction Music ビジネスを紹介しています。
かつては一部の限られたミュージシャンにしかチャンスが無かった世界各国のTV番組等への楽曲提供が、現代ではDTM環境の発達とインターネットのおかげで世界中、誰にでも可能になっています。
しかし、実際にやるとなると成果を得るまでに多大な時間と労力が必要なので
- それで稼いで生活していけるのか?
- リッチになれる?
- 休みは取れる?労働時間は?
- 将来性は?
など、気になりますよね?
1つずつ解説していきます。
稼げる?生活していける?
答えはYESです。
音楽ビジネスは、基本的に人気商売なので頑張ったからといって、必ず食えるようになるような世界ではありません。特にCDが売れなくなった今、ストリーミングサービスやYouTubeなどでバズる事が成功への重要な道筋となっていますが、どういう音楽がバズるか予測するのはほとんど不可能です。
そんな不確定要素の多い音楽ビジネスの中にあって、Production Musicビジネスは注いだ時間、努力に比例して成果が現れる可能性が高い唯一のビジネスだと言えます。
私の場合、始めて2年半くらいで生活費をまかなえる収益が稼げる様になりました。そして現在まで、継続的に印税額を増やし続ける事ができています。また私の友人の作曲家の多くが専業でやっています。
ほとんどは、アメリカ、ヨーロッパの人たちですが、このビジネスには住んでいる場所、国籍、年齢も関係ありませんので、日本人であるハンデは何もありません。(簡単な英語の読み書きだけは必須です💦)
リッチになれる?
これはYes and Noです。
もしあなたが年収1億円以上の大富豪を目指しているなら、今すぐ別のビジネスを探してください。Production Musicでそれほど稼ぐと言うのはあまり現実的では無いと思います。
では、1千万円ではどうでしょう?
これは全然可能だと思います。ある程度の長さのキャリアがある作曲家の中には年収1千万円から3千万円くらいの人たちがそれなりにいます。
Production Musicビジネスは少しづつカタログ登録曲を増やしていく事で、1曲が繰り返し利益を生んでくれる仕組みなので、継続する事で大きな収入を得るチャンスがグッと広がります。
またメジャーな放送局から世界へ向けて公開されるドラマのテーマ曲や大手企業のテレビCMなどに曲が採用されれば、数百万円単位の著作権使用料を一時的に受け取れるチャンスもあります。
残念ながらこれはトッププレイヤーの話です。
平均的なイメージで言うと、参入1年目はおそらく著作権使用料が5万円を超える事すら難しいと思います。Production Musicビジネスは使用料の受け取りまでに時間がかかるビジネスだからです。この時点では曲数も圧倒的に足りません。実際、大半の作曲家がここで諦めてしまいます。
2〜3年目、この時点で良質な曲が200曲以上、業界でちゃんと活動しているLibraryに登録されていれば毎月の生活費を賄うくらいの使用料が入ってくる可能性は十分にあります。逆にこの曲数をクリアしていて十分な著作権使用料が無ければ、契約しているLibraryの見直しを考えた方が良いでしょう。
4年目以降、もしここまで継続できて、カタログに300曲以上登録されていれば2年目までの印税が遅れて入ってきて、倍々ゲームの様に一気に増えていく様になる頃です。Production Music ビジネスの可能性を一気に実感し始めるでしょう。
この頃になるとLibraryとの信頼関係も確立され、カタログ用の提出曲だけでなく、Custom Jobと呼ばれる買取案件を依頼される事が増えてきます。
これは単価30万円以上の非常に大きなPlacementが確約された案件で、収入を増やす大きな要因になります。
これ以降は、トレンドを意識しつつ曲を書き続ける事で少しづつ印税額を増やしていける様になります。
運やトレンドに左右されやすい音楽業界において確実に積み上げていく事ができるのがProduction Musicビジネスの大きな特徴になります。
休みは?労働時間は?
Production Music Composerは基本的にフリーランスです。そして、Custom Jobを受注した時以外は、締め切りもありません。自分のペースで曲を作りライブラリに提出していく形なので、どれだけ働いて、いつ休むのか全て自分の裁量で決めることができます。
とはいえカタログ登録曲が200曲を超えるあたりまでは、十分な収入を得るのが難しいので、そこまでは相当頑張って曲作りをする必要があります。最初の1、2年はそれなりにシンドいと思います。
しかし、曲数が増えるに従って自由度が飛躍的に上がっていく印象です。
将来性は?
実はProduction Musicビジネスは現在、大きな岐路を迎えていると言えます。
ご存知の通り、Amazon Prime, Netflix, Huluなどインターネット経由のコンテンツ配信が物凄い勢いで伸びでいる一方、従来のTV業界は急速に衰退しています。
Netflix等もProduction Music ビジネスのクライアントであり、コンテンツ内で使用された曲の使用料は発生するのですが、その金額がTVでの使用料とは比べ物にならない程、安い事がComposerの間で大きな懸念となっています。(本当に冗談かと思うくらいです😢)
さらに近年、Netflixなどがオリジナルコンテンツの音楽に対してロイヤリティフリーに近い、印税が発生しない買取モデルを採用し始めています。インターネットTVと従来のTVの市場規模がすでに逆転している中でこのやり方が定着してしまうと後発のプロダクションもこれに追従することが考えられます。
参考記事(英語)
こういった流れがある中、2019年12月、従来のTV業界の超大手Discovery Networkに関して衝撃的な記事が出ました。(Discovery NetworkはDiscovery Channel,Animal Planetなど大人気のコンテンツを数多く制作しているTVプロダクションです。)
その内容を要約すると
現在までにDiscovery Networkに楽曲を提供している作曲家は、今後、使用料を受け取る権利を放棄する内容の契約を結び直してほしい。新たな契約においては過去に制作された作品の再放送に関しても今後、使用料を支払わない。
https://variety.com/2019/music/news/discovery-networks-composers-music-royalties-1203434924/#article-comments
というものでした。
もしこれが認められてしまえば、この流れに追従するプロダクションが続出して、Production Music ビジネスは成り立たなくなってしまうので、業界は猛反発しました。
沢山の作家がDiscovery Networkとの仕事のボイコットを表明しましたし、多くのLibraryが今後、Discovery Networkとは取引しないと発表しました。
私が契約しているLibraryからも通達が来て、Discovery Networkとの取引停止、さらに個人的にでもDiscovery Networkと取引をしている作曲家とは今後、一切契約しないというかなり強硬なものでした。
なぜ、Libraryがここまで反発したかというと、Libraryは音楽出版社として作曲家と楽曲使用料を分け合う仕組みになっているので、作曲家が使用料を受け取れなくなれば、彼らも収入源を断たれてしまうからです。
さすがにマズいと思ったのか、数日後にDiscovery Network側から、現行のProduction Musicの慣行を否定するつもりはないという発表がなされました。
たしかに最初に公開された記事は、再契約の対象がすべての作曲家なのか一部なのか等、不明瞭な点が多い内容でした。
ただ長年、Production Musicビジネスのルールに則って制作を行ってきたテレビプロダクションの超大手が、Netflix方式を採用すると取られてもおかしくない内容だけに大騒動になりました。今は、Discoveryの発表により一旦、収束している様です。
とはいえ、テレビからネットへという動きは今後も加速していくでしょうから、Production Music ビジネスの様態も急激に変化していく事は間違いありません。
しかし、今回のDiscoveryの一件からも分かる様に、アメリカの場合、クリエイターの権利関係に対する意識が高い事、業界団体がちゃんとした影響力を持っている事、そして過去にもクリエイターの権利を守るために政治が動きその地位を確立してきた経緯がある事から、短期的にみてComposerの地位が失われてビジネスモデルが崩壊するとは考えにくいです。
中長期でみれば、主なクライアントがTV業界から、インターネットTV業界に移っていく事は間違い無いでしょう。
その過程で音楽を使用するコンテンツは増加傾向にあります。現在は低く抑えられている楽曲使用料も業界団体の働きかけにより適正な価格に是正されて行くハズです。その結果、業界としてはさらに成長をしていくと予想されています。
これから始める人向けに
■アメリカのマーケットが中心になるので、どうしても英語力だけはある程度、必要になります。
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